◎ 2000年 1月 北アルプス 中崎尾根から槍ガ岳
この頃の山行は、記録つけていないんです。写真は残っているので、記憶を頼りに、ちょこっと報告します。
1月3日（月） 車で、まだ夜中のうちに家を出る。途中、Ｍ越君を拾って、新穂高温泉へと向かう。今回は、Ｍ越君と二人で、槍ガ岳を目指す。
早朝、5時頃には、新穂高温泉の駐車場に着いたかな。天候悪し。しょぼしょぼと雨模様。6時頃まで様子見ていたけれどあまり変化もないので、腹を決めて出発することにした。登り始めると、雨というよりはやはり雪になる。雪の方が、いくらか助かるね。穂高平に登るのに、ショートカットする道を知らず、まじめに車道に沿って上がった。穂高平避難小屋の玄関に入って、ちょっと休ませてもらう。10分くらいして外に出て、右俣林道を登っていく。白出小屋までは、それほど大変ということもなかった。ただ、荷物重くて、ちょっといつもよりは足どり遅かった。
さて、白出小屋の前を過ぎてからが、大変だった。雪は断続的に降り止まず、道も所によってはラッセルを強いられ、特に、右手から流れてくる沢状の地形を渡るところでは、さらさらの雪にはまり、ほとんど腰くらいまで潜るなんてこともあった。それでもうヘトヘト。なんだか滝谷避難小屋までもたどり着けないんじゃないかとさえ思えてくる。それでもなんとか、昼過ぎ２時頃には、そこまで行けた。なんか、天気は良くならないし、この先へ進んでもはたしてこの調子だと槍になんて登れないよ、などとちょっぴり弱気になる。それでも、今回はＭ越君と二人ってことで、お互い負けないぞっていうか俺もがんばらなくちゃという思いで、進んだ。そしてやっとの思いで、今日の予定地の槍平小屋に着いた。もう夕方だった。とにかく、とりあえずは雪と風がしのげるのが嬉しい。冬期小屋には俺らの他にはソロの人が一人、だったかな。明日の天気を気にしつつ、爆睡した。
4日（火） 5時前には起床。食事して支度して、6時頃には小屋を出たと思う。天気は、なんと快晴！ すごく気持ちいい。中崎尾根を登るには、もう少し進んでからひょっと上がった方が楽なんじゃないかなぁという判断から、飛騨沢を進む。トレースもあって昨日に比べれば、格段に楽に進めた。中岳方面へ分ける地点を過ぎ、大喰岳に上がるらしき地点が見えるところまで来た。左手の中崎尾根も、心なしか近くなったような気がするので、尾根っぽく張り出しているところを手がかりに、左へ向かった。もちろんそこからの登りはまったく踏み跡もなく、ただ、目指す尾根ははっきり見えているのでひたすらもくもくとラッセルして進む。そうしてかなりいい汗をかいたところで、尾根上に出た。もうわりと細くなっているところで、さらに尾根づたいに進んでみると、千丈沢乗越もすぐ先に見えてくる。山行前に見た本では、2500ｍ付近に幕営するとよい、と書いてあったのだけれど、さて、どのあたりが2500ｍなのか、二人にはわからなかった。それでまぁ、このあたりにしようかって所にテント設営した。ブロックは積めなかったけど、自分たちなりに工夫して、なんとか飛ばないようにはしたつもり。実際、その晩はもの凄い風でいつどんなことになるかとヒヤヒヤしたのだが、なんとか、大丈夫だったみたい。
5日（水） 4時前には起きてた。ていうか、風がうるさいのと、少し興奮していたせいか、あまり眠れなかった。アタックの朝。荷物は必要なもの以外はデポして、軽くして出発。ふり返ると、朝の笠ガ岳がすごくきれい。千丈沢乗越へは右側にルートをとり、雪崩、滑落に注意しながら進んだ。
西鎌尾根に出てからは足元はガリガリコチコチになってくる。けど、一歩一歩進めば目標に近づくってもんで、無口になりながらも、着実に進んだ。そうして、槍の肩へ。槍岳山荘の冬期入口から、とりあえず中に入って休憩。そして、じゃ、行くって感じで山頂へ向かった。槍の穂先は思っていたほどのこともなく、すぐ登れた。やったぁ、頂上だ！ Ｍ越君と固い握手。写真とか撮ってしばらくいたけれど、とにかくもの凄く寒いので降りてきた。お昼は肩で食べる。それから一度テント設営地まで下り、時間がまだ早かったので小屋まで下っちゃおうってことにして、撤収する。4時頃には槍平小屋まで戻ってきた。気持ちよく疲れた。たぶん、天気に助けられたってところは大きいと思うよ。ほんと、いい天気でよかった。小屋に入って二人で乾杯。Ｍ越君は、缶ビールを持ってきてくれていたのであった。そして、今日が俺の誕生日だってことを覚えていてくれて、ささやかにそれもお祝いしてくれた。ありがとうＭ越君。いい誕生日だった。
6日（木） 5時頃起床だったか。今日もまずまずの天気。登りであんなに苦しかった道も、下りはわりと平気。やはり、雪が降っているのといないのとでもかなり違う。潜って苦しむということもなかった。お昼頃には、新穂高温泉に帰ってきたっけか。お疲れッ！ 温泉は、ちょっと戻って昨年同様、中ノ湯に入った。冬の槍に、登ったんだねぇ。しみじみ・・・。今度はどこ、行こうかなぁと、早くも考えたりするのであった。
「すべての高い山に登れ」の目次のページに戻る。